マグロ刺身の切り方|柵の筋目・向き・赤身とトロの厚さを解説

こんにちは、暮らし比較ナビのしのいちです。

スーパーの鮮魚コーナーでマグロの柵を手に取ると、「今日はきれいに切れるかな」と少しそわそわします。

私が刺身に使っているのは、普通の家庭用三徳包丁。

よく行くスーパーに数ヶ月に1回お店を出してくれる研屋さんから買った1本で、鋼をステンレスでカバーしたタイプなので、よく切れて重宝しています。

ただ、肝心の刺身の切り方はいまだによく分かっていません。YouTubeを見ても、どれが縦でどれが横なのかすら混乱してしまうほど。

うまくいく日もあれば、全然うまくいかない日もあります。それでも、切り方で味の良し悪しが決まるのは分かる気がするので、少しずつ覚えたいと思っているところです。

マグロの場合、ポイントは筋目の読み方と厚さの決め方の2つ。

この記事では、柵やブロックの筋目の見分け方と置く向き、赤身とトロの厚さの目安、種類ごとのコツ、ハラモやほほ肉、脳天の扱い方まで、家庭で試しやすい形でまとめました。

この記事でわかること
  • マグロの柵やブロックで筋目と置く向きを見分ける方法
  • 赤身・中トロ・大トロそれぞれに合う厚さの目安
  • ビンチョウやキハダ、メジマグロなど種類別の切り方のコツ
  • ハラモ・ほほ肉・脳天を刺身にするときの下処理と切り方

マグロ刺身は筋目を断つ切り方が基本

マグロをおいしく切れるかどうかは、包丁を入れる前の「筋目の確認」でほぼ決まります。まずは筋目を断つ理由と、包丁の動かし方が味にどう関わるのかを見ていきましょう。

マグロ、サーモン、ハマチ、タコの刺身を複数の皿に盛った食卓

マグロやサーモン、ハマチ、タコの刺身を並べた晩酌の食卓。マグロは切り方しだいで食感がはっきり変わる魚です

筋目と平行に切ると食感が落ちる理由

マグロの身をよく見ると、白っぽい線が何本も走っているのが分かるはず。これが筋目で、筋肉の繊維や膜が並んでいる部分です。

この筋目に沿って、つまり平行に刃を入れると、1切れの中に長い筋がそのまま残ります。噛んでもなかなか噛み切れず、口の中に筋だけが居座る感じ。しかも刃が繊維に引っぱられて、身がぐずっと崩れやすくなります。

反対に、筋目と交わる方向に刃を入れると、繊維が短く断ち切られます。すると歯切れがよくなり、舌の上でほどけるような口当たりに。基本は筋目に対して直角ですが、柵の形によっては斜めに交わる角度でも問題ありません。いちばん避けたいのは「筋目と平行に切ること」だと覚えておくと迷いにくいですよ。

マグロを切るときの最優先ルール

筋目を長く残さず、断つ方向に刃を入れること。直角が理想で、難しければ斜めに交差させればOK。平行だけは避けましょう。

よく切れる包丁で一度に引くのが大切

筋目の向きが合っていても、包丁の動かし方が雑だと仕上がりは残念なことに。切れ味の鈍い包丁で押しつぶしたり、のこぎりのように前後に何度も動かしたりすると、身の細胞がつぶれて旨味を含んだ水分、いわゆるドリップが流れ出てしまいます。

ドリップが出た刺身は、表面がべたっとしてパサつきやすく、生臭さも出がち。一方で、刃元から刃先までの長さを使って手前に一度で引く「引き切り」なら、細胞をつぶさずに切り離せます。断面の角がぴしっと立ち、つやのある見た目になるうえ、醤油が必要以上に染み込まないので、マグロ本来の味を感じやすくなるわけです。

◆しのいちのワンポイントアドバイス

私は切り方がほぼ適当なので、うまくいく時もあれば全然うまくいかない時もあります。うまくいった時はやっぱりなんだかとっても嬉しいですし、うまくいかなくても刺身は美味しいので、それで十分満足。あなたもまずは「筋目の向き」と「一度で引く」の2つだけ意識してみてください。

マグロの柵で筋目と向きを見分ける

実際の柵を前にすると「どれが筋?どう置く?」と迷いがちです。ここでは筋の入り方で質を見分けるコツと、置く向き、筋が見えにくいときの対処法を解説します。

柵の筋の入り方で質を見分ける

マグロの柵は、筋の入り方がそのまま食べやすさの目安になります。いちばん扱いやすいのは、筋が薄く、平行かゆるやかな斜めに入っている柵。背の中央に近い部位で、平造りにしても筋が口に残りにくいのが特徴です。

逆に、筋が半円を描いているもの、V字になっているもの、筋と筋の間隔がぎゅっと詰まっているものは、頭や尾に近い部位であることが多いです。筋が硬めで口に残りやすいため、刺身で食べるならかなり薄めに切るか、づけ・ねぎとろ・加熱料理に回すほうが満足度は上がるかもしれません。

背側の柵は厚みがあり、脂が少なめのさっぱりした赤身。腹側の柵は薄く平たく、断面が「へ」の字のように反っていることが多く、脂がのったトロの部分にあたります。パックの上から筋と形を見るだけでも、切り方のイメージがつかみやすくなりますよ。

右利きは筋が右肩上がりになる向きに置く

柵をまな板に置くときは、厚みのある方を奥、薄い方を手前にするのが平造りの基本です。そのうえで、右利きの人は筋目が左下から右上に向かう「右肩上がり」になるように柵の向きを調整します。

この向きで柵の右端から包丁を入れ、まな板に対して真っすぐ刃を下ろしながら手前に引くと、刃が筋目と交わる形になります。つまり、自然と筋を断つ方向で切れるわけです。切り離した1切れは、そのまま右側へ倒すように並べていけばOK。

左利きの人は、この配置を左右反対にして考えてください。なお刺身包丁の多くは片刃で、右利き用と左利き用で刃の付き方が逆。右利き用を左手で使うと刃が内側に逃げやすいので、購入時は利き手を確認しておくと安心です。

筋が見えにくい柵は無理に厚切りしない

冷凍の柵や色の濃い赤身、表面が乾いた柵だと、筋目がほとんど見えないことがあります。こんなときに勢いで厚く切るのはちょっと待ってください。もし筋と平行に切っていたら、厚いぶんだけ長い筋が残ってしまいます。

おすすめは、まず端から1切れだけ薄めに切ってみること。その断面を見れば、筋がどの角度で走っているかがだいたい分かります。表面の水気をキッチンペーパーで軽く拭き取り、明かりに対して柵を少し斜めに傾けると、白い筋が浮き上がって見えやすくなるのもポイント。

向きの確認がとれるまでは、厚さを7〜8mm程度に抑えておくと、失敗しても食べやすさを保てます。筋が見えないときほど薄めから始める。この順番を守るだけで、仕上がりのばらつきはかなり減るはずです。

マグロブロックから刺身を切る手順

ブロックで買った場合は、柵に切り分けてから平造りにすると扱いやすくなります。冷凍品の解凍のコツとあわせて、切るまでの流れを追っていきましょう。

ブロックは筋に沿って柵に切り分ける

ブロックのまま平造りにすると、1切れが大きくなりすぎて口に入れにくく、厚さもそろいません。まずは表面に皮や黒ずんだ血合いが残っていれば取り除き、筋の走る方向を確認しましょう。

柵取りのときは、筋に沿う方向(平行)で切り分けるのがコツ。刺身を切るときとは向きが逆なので混乱しやすいのですが、こうしておくと柵の中の筋の向きがそろい、次の平造りで筋を断ちやすくなります。柵の幅は4〜5cm、厚さは2cm前後がひとつの目安。家庭のまな板や包丁の長さに合わせて調整してください。

筋が大きく曲がっている部分や端の身は、細かくたたいてねぎとろにしたり、角切りにしてづけにしたりすると無駄なく食べきれます。

冷凍の柵は半解凍の状態で切る

冷凍のマグロは、解凍の仕方で仕上がりが大きく変わります。常温で一気に溶かすと、表面からドリップが出て水っぽくなりがち。一般的には、冷蔵庫でゆっくり戻す方法や、塩水で表面をさっと洗ってからキッチンペーパーで包み、冷蔵庫で戻す方法がよく知られています。

切るタイミングは、中心にわずかに芯が残る半解凍くらいがちょうどいいかも。身が締まっているので刃がぶれにくく、柔らかい部位でも角がきれいに出ます。ただし凍りすぎていると刃が入らず、身が割れる原因に。指で押して少し沈むくらいを目安にしてみてください。

生食用マグロの取り扱いで気をつけたいこと

刺身にするのは「生食用」「刺身用」と表示された商品に限り、消費期限を守りましょう。解凍後の再冷凍は避けるのが無難です。正確な解凍方法や保存方法は、商品のパッケージや販売店の案内をご確認ください。

平造りで一度に引き切る手順

準備ができたら、いよいよ平造りです。柵は冷蔵庫でしっかり冷やしておき、表面とまな板の水気を拭いておくと身が滑りません。

柵は厚い方を奥にして、筋が右肩上がりになる向きに置きます。左手の指先を柵に軽く添え、包丁の刃元を柵の右端に当てたら、手前へスーッと一度で引き、最後に刃先で切り離しましょう。力で押し切るのではなく、包丁の重さと長さに仕事をさせるイメージです。

切り離した1切れは、刃にのせたまま右へ倒し、前の切り身に少しずつ重ねるように並べていきます。刃に脂や身がついてきたら、濡らして固く絞った布巾でこまめに拭くのが、最後まで断面をきれいに保つコツですよ。

一定の厚さに切りそろえた刺身を長方形の皿に並べた様子

一定の厚さに切った刺身を一列に並べた皿。厚さがそろうと、見た目にも食感にもまとまりが出ます

赤身やトロの部位別に見る厚さの目安

同じマグロでも、脂の量によって食べやすい厚さは変わります。まずは目安の表で全体像をつかんでから、部位ごとのポイントを見ていきましょう。

部位 厚さの目安 切り方のポイント 合う食べ方
赤身 約8〜12mm 筋に直角の平造り 刺身、づけ、角切り
中トロ 約7〜8mm 赤身よりやや薄め 刺身、握り寿司
大トロ 約5〜7mm 筋を短く断って薄めに 刺身、炙り

※厚さはあくまで一般的な目安です。柵の状態やお好みで調整してください。

赤身は1cm前後で身の弾力を味わう

脂が少なくさっぱりした赤身は、1cm前後の厚めの平造りが向いています。薄く切りすぎると、赤身ならではの弾力や噛むほどに広がる旨味が感じにくくなり、ちょっと物足りない印象になりがちです。

赤身は筋が比較的見えやすいので、筋目に直角に刃を入れる基本をそのまま実践しやすい部位。厚めに切ったぶん、筋が残っていると目立つので、1切れ目の断面は必ず確認しておきましょう。柵の筋が硬そうなら、8mmほどに少し落とすだけでも口当たりは変わりますよ。

1.5cm角ほどの角切りにして、づけや山かけにするのもおすすめ。刺身に飽きた日の選択肢として覚えておくと便利です。

中トロは赤身よりやや薄めに切る

中トロは、赤身の旨味とトロの脂のちょうど中間。7〜8mmほどを目安に、赤身よりほんの少し薄めに切ると、脂がくどくならず、口に入れたときの溶け方も心地よくなります。

中トロの柵には、うっすらと白い筋が平行に入っていることがよくあります。平造りのときは筋に直角、あるいはやや斜めに交差させて、長い筋が残らないようにしましょう。脂がのって身が柔らかく包丁に張りつきやすいので、よく冷やした状態で切るのがおすすめです。

握り寿司にするなら、やや薄め・長めに切るとシャリとなじみやすくなります。

薄めに切った刺身をシャリにのせた握り寿司とタコの刺身

薄く切った魚をのせた握り寿司と、小皿に盛ったタコの刺身。寿司にするときは刺身より少し薄めが食べやすいです

大トロは筋を短く断って薄めに切る

大トロは脂がたっぷりのった腹側の部位で、白い筋が縞模様のように何本も入っているのが特徴です。この筋がやっかいで、長いまま残ると脂の甘さより筋っぽさが先に立ってしまいます。

そこで大切なのが、筋を短く断ち切る向きで、5〜7mmほどの薄めに切ること。1切れの中に入る筋の長さをできるだけ短くするイメージで刃を入れましょう。厚く切ると脂の量が一気に増えて、2切れ目あたりで重たく感じる人も多いはず。薄めのほうが、脂がすっと溶ける大トロらしさを味わいやすいですよ。

筋がとくに硬い部分は、筋に沿って身を切り外し、軽く炙ったりねぎとろにしたりすると最後までおいしく食べきれます。大トロほど「薄く、筋を短く」を合言葉にしてみてください。

マグロの種類ごとに切り方を変えるコツ

メバチ、キハダ、ビンチョウ、そしてクロマグロの若い魚であるメジマグロやヨコワなど、マグロは種類によって身の柔らかさや脂ののり方がかなり違います。特徴に合わせて厚さや切り方を少し変えてみましょう。

マグロの種類ごとの特徴や主な用途は、国の資料でも紹介されています。(出典:水産庁『主要なかつお・まぐろの種類』)

マグロや白身魚、光り物を盛り合わせた刺身の皿

マグロや白身魚、光り物を盛り合わせた一皿。魚の種類によって、ちょうどいい厚さは変わります

メバチマグロとキハダマグロの切り方

メバチマグロは刺身用として流通量が多く、スーパーでよく見かけるマグロのひとつ。クロマグロに比べるとトロは少なめで、赤身や中トロが中心です。赤身なら1cm前後、中トロ部分なら7〜8mmと、基本の厚さがそのまま使いやすい種類といえます。

キハダマグロは、淡い色の赤身で、脂が少なくさっぱりした味わいが持ち味。身質がしっかりしていて崩れにくいので、平造りの練習にも向いています。ただ、厚く切りすぎると単調に感じることもあるので、8mm〜1cmほどで様子を見るのがおすすめ。味が淡いと感じたら、づけにして変化をつけるのもいいですね。

ビンチョウマグロは柔らかさに合わせる

ビンチョウマグロ(ビンナガ)は、白っぽいピンク色の身で、とても柔らかいのが特徴。缶詰の原料として知られていますが、刺身用の柵もよく見かけます。

柔らかい身は、普通に切ろうとすると刃に引きずられて角がつぶれたり、切り口がぼろっと崩れたりしがち。しっかり冷やした状態、冷凍品なら半解凍の状態で切ると、身が締まって格段に扱いやすくなります。包丁を押しつけず、刃の長さを最大限に使って一度で引くことを、ほかのマグロ以上に意識してみてください。

厚さは、薄すぎると崩れやすいので1cm前後のやや厚めが無難です。一方で、脂ののった「ビントロ」は7mmほどに少し薄くすると口どけが活きます。身の状態を見て厚みを変えるのがコツですよ。

メジマグロやヨコワは皮と血合いを外す

メジマグロやヨコワは、クロマグロの若い魚の呼び名です。一般に関東ではメジ、関西ではヨコワと呼ばれることが多く、成魚に比べて脂は控えめで、あっさりした赤身が楽しめます。

半身や丸ごとで売られていることもあり、その場合は皮と血合いの処理が先。皮は硬く口に残るので、皮を下にして端から包丁を差し込み、包丁は動かさずに皮のほうを引っぱって外します。中央の黒っぽい血合いは、生臭さの原因になりやすいので切り取っておきましょう。

身が柔らかめなので、平造りは1cm前後でやや厚めにすると食感が出ます。皮目を軽く炙ってから切るのも、香ばしさが加わっておすすめです。なお、丸ごと手に入れた魚は、新鮮なうちに内臓を取り除き、寄生虫がいないか目で確かめることが大切。アニサキスは一般的な料理で使う量の塩や酢、わさびでは死滅しないとされています。激しい腹痛などが出た場合は、早めに医療機関を受診してください。(出典:厚生労働省『アニサキスによる食中毒を予防しましょう』)

ハラモやほほ肉など希少部位の切り方

鮮魚店や通販で見かけるハラモやほほ肉、脳天は、柵とは筋や膜の入り方が違います。切る前のひと手間が仕上がりを左右しますよ。

ハラモや腹身は皮と筋を先に外す

ハラモは、マグロのお腹を覆う部分の身で、脂がたっぷりのっている一方、皮や硬い筋、薄い膜が多いのが特徴です。焼き物にされることが多い部位ですが、刺身用として売られているものなら生でも楽しめます。

刺身にするなら、まず皮を引き、表面に残った銀色の薄皮や硬い筋をていねいにそぎ取りましょう。ここを残すと、どれだけ上手に切っても口の中に筋が残ってしまいます。そのうえで、筋が走る方向を確認して直角に5〜7mmほどの薄めに切ると、脂の甘さを気持ちよく味わえます。

薄く平たい腹身の柵は、刃を少し寝かせたそぎ切りにすると断面が広がり、見た目のボリュームも出しやすくなります。

ほほ肉は膜を取って薄めのそぎ切りに

ほほ肉は、マグロの頬にあたる部分。1尾から取れる量が限られ、肉のような歯ごたえがあります。一般的にはステーキや煮付けなど加熱して食べることが多く、刺身にするなら「生食用」と表示された新鮮なものを選ぶのが前提です。

表面に硬い膜や筋がついていることが多いので、包丁の刃先を使って少しずつそぎ取っていきます。膜を取り除いたら、繊維の向きを見て、それを断つように刃を寝かせた薄めのそぎ切りに。厚く切ると噛み切りにくいため、5mm前後を目安にしてみてください。

脳天は中心の筋を外して切り分ける

脳天は、マグロの頭のてっぺん付近から取れる部位で、1尾からわずかしか取れない希少な部分です。脂がほどよくのり、とろけるような柔らかさを持っています。

中央に硬い筋が1本通っていることが多いので、まずその筋に沿って左右に切り分け、筋を取り除きます。そのあと、身の繊維の向きを確認して、繊維を断つように平造りにしましょう。柔らかい部位なので、7mm〜1cmほどにすると形が崩れにくく、とろけ具合も楽しめます。

希少部位を刺身にするときの注意

ハラモやほほ肉、脳天は、加熱用として販売されていることも少なくありません。生で食べるのは「生食用」「刺身用」と明記された商品に限り、判断に迷うときは購入した鮮魚店や販売元に確認してください。

マグロ刺身を切る包丁とまな板の選び方

筋目や厚さを意識しても、切れ味が足りないと断面はきれいに仕上がりません。刺身包丁の特徴と、家庭の包丁で工夫するポイントを見ていきます。

柳刃包丁が刺身に向く理由

刺身包丁の代表が柳刃包丁です。一般的な三徳包丁や牛刀は、刃が左右対称につく両刃。これで柔らかい生魚を切ると、切り離す側と残す側の両方の身に押しつける力がかかり、断面をつぶしやすくなります。

柳刃包丁の多くは片刃で、表側だけに鋭い角度の刃がつき、裏側はほぼ平らな構造。引き切ると、刃の傾斜が切り離す1切れだけを外側へ押しのけながら進むので、まな板に残る柵の断面にはほとんど力がかかりません。断面が鏡のように光り、ドリップが出にくいのはこのためです。

刃渡りが長く、幅のあるマグロの柵でも「一度で引く」を実践しやすいのもうれしいところ。

三徳包丁でも切れ味しだいで工夫できる

とはいえ、柳刃包丁がないと刺身を切れないわけではありません。私自身、普段使っているのは家庭用の三徳包丁です。切れ味さえよければ、刃の根元から先までを長く使って手前に引くことで、つぶれにくい断面に近づけられます。

三徳包丁は刃渡りが短めなので、幅の広いマグロの柵では一度で切り離せないことも。そんなときは柵を細めに切り分けておくと、1回の引きで切り終えやすくなります。刃渡りが足りないなら、柵のほうを小さくするという発想ですね。

◆しのいちのワンポイントアドバイス

私の包丁は、鋼をステンレスでカバーしたタイプ。鋼だけによく切れるので重宝していますが、鋼が出ている刃の部分は、使ったあとによく洗って水気を拭き取らないとすぐにサビが出てしまいます。錆びたからといってなんてことはないのですが、刺身を切る道具なので、使い終わったらすぐ洗って拭く習慣をつけておくと気持ちよく使えますよ。

砥石と魚用まな板もそろえたい

切れ味を保つには、定期的に研ぐことが欠かせません。家庭で研ぐなら砥石が基本。包丁を一定の角度に保ち、均等な力で前後に動かしていきます。片刃の柳刃包丁は、表を研いだあとに裏側を平らな砥石にぴったり当てて数回だけ研ぐ「裏押し」で、刃先の金属のめくれを取るのがポイントです。

研ぎに自信がなければ、研ぎ屋さんに任せるのもひとつの方法。仕上がりや料金はお店ごとに違うので、事前に確認しておきましょう。

あわせて用意したいのが魚用まな板です。肉や野菜と分けて使えるので、におい移りや衛生面の心配が減りますし、刃当たりのやさしい素材なら切れ味も長持ちしやすくなります。マグロの柵を置いても余裕のあるサイズだと切りやすいですよ。

マグロ刺身の切り方に関するよくある質問(FAQ)

Q1. スーパーのマグロ刺身パックは切り直した方がいいですか?

A. 基本的にはそのまま食べて問題ありません。ただ、厚すぎて食べにくい場合や断面に筋が長く残っている場合は、1切れを筋に交わる方向で半分に切るだけでも口当たりがよくなります。表面に水分が浮いていたら、キッチンペーパーで軽く押さえてから盛り付けるとすっきりしますよ。

Q2. 切ったマグロの刺身に白い筋が残ってしまったらどうすればいいですか?

A. 包丁の刃先で筋に沿って切り込みを入れ、筋だけを取り除くのが手軽です。量が多いときは、細かくたたいてねぎとろ風にしたり、づけ丼にしたりすると筋が気になりにくくなります。次に切るときは、1切れ目の断面で筋の向きを確認してみてください。

Q3. マグロの刺身は切ってからどれくらい置いておけますか?

A. 刺身は切った瞬間から断面の乾燥や変色が進むので、食べる直前に切るのがいちばんです。切ったあとはラップをかけて冷蔵庫に入れ、当日中に食べきるのが一般的な目安。保存期間は商品ごとに異なるため、パッケージの消費期限や販売店の案内を必ずご確認ください。

Q4. マグロの刺身を盛り付けるときのコツはありますか?

A. 大根のツマや大葉を奥に高く盛って土台をつくり、切り身を少しずつずらしながら右から左へ重ねていくと立体感が出ます。枚数は3切れや5切れなど奇数にするのが和食の基本。赤いマグロに大葉の緑やツマの白を添えると、彩りもぐっと華やかになりますよ。

マグロ刺身の切り方のまとめ

マグロの刺身は、筋目の向きと厚さを意識するだけで、同じ柵でも驚くほど食べやすくなります。最後に、この記事のポイントを振り返っておきましょう。

  • 筋目と平行に切らず、直角か斜めに交わる方向で筋を断つ
  • 右利きは厚い方を奥、筋が右肩上がりになる向きに柵を置く
  • 筋が見えにくい柵は、薄めの1切れで向きを確かめてから切る
  • ブロックは筋に沿って柵取りし、平造りで筋を断つ
  • 厚さは赤身1cm前後、中トロ7〜8mm、大トロ5〜7mmが目安
  • 柔らかいビンチョウはよく冷やし、希少部位は皮や筋、膜を先に外す

そして仕上げは、柳刃包丁のようなよく切れる包丁で、刃の長さを使って一度で引くこと。私もまだ切り方は手探りですが、うまく切れたときの嬉しさはやっぱり格別です。包丁選びで迷ったときは、各メーカーの公式サイトで仕様を確認したり、刃物店のスタッフに相談したりすると、自分に合う1本が見つかりやすいですよ。

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