冬の澄んだ空気の中でする車中泊、最高ですよね。でも、翌朝起きた瞬間に窓ガラスがビショビショで、ひどい時には寝袋まで湿ってしまっていた……なんて経験はありませんか。
「とりあえず窓を少し開けて寝ればいい」「市販のサンシェードを貼っておけば大丈夫」と思っている方も多いのですが、実はそれだけでは根本的な解決にはなりません。
私も車中泊を始めたばかりの頃は、毎朝タオルで窓を拭く作業から一日が始まり、生乾きのシェードの扱いに困り果てていました。
そこで様々な断熱材を試し、車内環境を計測しながらたどり着いた答えがあります。それは、単に窓を隠すのではなく、物理的な「空気の層」を作ることでした。
今回は、なぜ結露が起きるのかという仕組みから、ホームセンターで手に入る材料で劇的に結露を減らすDIYテクニックまで、私の失敗談を交えつつ詳しく解説していきます。
これを読めば、次の車中泊からは、あの不快な水滴に悩まされることなく、カラッと快適な朝を迎えられるようになりますよ。
- 結露の正体は「寒暖差」と「呼気」にある
- 市販のシェードだけでは根本解決にならない
- 断熱材DIYのキモは「空気層」を作ること
- 快適な朝を迎えるための乾燥テクニック
なぜ朝起きると車内が水浸しに?結露の不都合な真実

「寝る前は平気だったのに、朝起きたら窓ガラスから水が滴り落ちていた」
車中泊初心者の誰もが通る道ですが、この現象を単なる「自然現象だから仕方ない」で片付けてはいけません。結露は、あなたの安眠を妨げるだけでなく、車中泊の質を著しく下げるサインだからです。
ここではまず、敵を知ることから始めましょう。なぜ濡れるのか、なぜ普通の対策では歯が立たないのか、そのメカニズムを紐解いていきます。
犯人は「外気温との差」とあなたが吐き出す「呼気」
結露が発生する最大の理由は、車内と車外の激しい温度差と、逃げ場のない湿気にあります。空気は温度が高いほど多くの水分を含むことができますが、冷たい窓ガラスに触れて冷やされると、抱えきれなくなった水分が水滴となって現れます。これが結露の正体です。
結露発生の方程式
- 温度差:外気0℃ vs 車内15℃(暖房や体温)
- 湿度源:一晩で成人が呼気から排出する水分は約300ml〜500ml
- 冷却面:断熱性の低い窓ガラス(シングルガラス)
私が初めて真冬の長野で車中泊をした際、寒さ対策で窓を完全に閉め切って寝ました。翌朝、車内はまるで加湿器を一晩中回したかのような湿気に包まれ、窓ガラスだけでなく、むき出しの鉄板部分までびっしょりと濡れていました。寝袋の表面もしっとり重くなり、不快感で目が覚めたのを覚えています。
対策の基本は「窓ガラスの表面温度を下げないこと」と「車内の水蒸気量をコントロールすること」です。まずは寝る前に少しだけ窓を開けて換気を行い、車内の湿気を外に逃がす癖をつけましょう。ただし、開けすぎると寒くて眠れなくなるため、バイザー部分を利用して数センチの隙間を作るのがポイントです。
プロの補足
実は、窓ガラスの内側だけでなく「フロアマットの下」も結露しやすいポイントです。人の体温で暖められた床と、地面からの冷気で冷やされた車体の間で結露が起き、気づかないうちにカビの温床になっていることがあります。
市販のペラペラなシェードでは結露を防げない理由
「サンシェードを貼っているのに結露するんですが……」という相談をよく受けますが、残念ながら市販の薄いシェードに断熱効果はほとんど期待できません。あれはあくまで「目隠し」であり、ガラス面の冷たさを遮断するほどの厚みや密閉性がないからです。
| 比較項目 | 一般的な市販シェード | DIY断熱シェード |
|---|---|---|
| 主な目的 | 目隠し・日除け | 断熱・結露防止 |
| 厚み | 数mm(ペラペラ) | 20mm以上(厚手) |
| 密着度 | 吸盤で点止め(隙間あり) | 窓枠にはめ込み(密閉) |
| 結露への効果 | × シェードとガラスの間で結露 | ◎ 空気層ができ結露しにくい |
多くの市販品は吸盤で窓に取り付けるタイプですが、この吸盤がくせ者です。ガラスとの間に隙間ができるため、そこに入り込んだ空気が冷やされて結局結露します。さらに悪いことに、結露した水滴で吸盤が滑り、朝起きるとシェードが剥がれ落ちて顔の上に落ちてくる……なんていう悲劇もよく起こります。
対策としては、市販のシェードをベースにするなら、さらに裏側から「銀マット」や「プラダン」を貼り付けて厚みを増す加工が必要です。しかし、どうせ手間をかけるなら、最初から窓枠にぴったりハマる専用の断熱材を自作してしまった方が、コストも安く、断熱性能も段違いに高くなります。
濡れたシェードの放置は厳禁!
結露して濡れた市販シェードをそのまま畳んで収納していませんか? 生乾きの状態で密閉された車内に放置すると、驚くほどのスピードで黒カビが発生します。必ず乾燥させてからしまいましょう。
放置するとカビだらけ?車体へのダメージも深刻
「たかが水滴でしょ?」と侮っていると、愛車に取り返しのつかないダメージを与えることになります。結露水は重力に従って下へ流れ落ち、内張り(トリム)の隙間やフロアマットの下など、普段目に見えない場所に溜まっていきます。
私が以前取材した中古車買取の現場では、車中泊に使われていた車両の内張りを剥がした瞬間、強烈なカビ臭とともに、断熱材代わりのスポンジが真っ黒に変色していた……という事例を何度も目撃しました。水分が長時間滞留することで、鉄板の合わせ目からサビが発生したり、最悪の場合は配線コネクタに水が入り込んで電装系のショートを引き起こすリスクさえあります。
車中泊から帰ったら、すぐに荷物をすべて降ろし、ドアを全開にして半日以上しっかりと「虫干し」をしてください。特にマットの下やスペアタイヤハウス内は湿気がこもりやすいので要チェックです。もし車内から独特の湿っぽい臭いがし始めたら、すでにカビが繁殖し始めている危険信号かもしれません。
売却時の査定にも悪影響!
車内の「カビ臭」や「腐食臭」は、中古車査定において大きなマイナスポイントになります。タバコ臭と同様に、消臭クリーニングが必要と判断され、数万円単位で査定額が減額されることも珍しくありません。
換気だけでは凍える!熱を逃がさない工夫が必要
結露対策の王道は「換気」です。車内の湿った空気を排出すれば結露は減りますが、ここで大きなジレンマに直面します。「窓を開ければ結露は防げるが、寒くて眠れない」という問題です。真冬の氷点下で窓を開けて寝るのは、断熱装備のない車内では自殺行為に近いものがあります。
実際に私も、「今日は絶対に結露させないぞ」と意気込んで窓を5cmほど開けて寝たことがありますが、夜中に寒さで震え上がり、結局窓を閉めてしまいました。その結果、翌朝は見事に結露が発生。つまり、換気を行うためには、窓を開けて外気が入ってきても耐えられるだけの「保温力(断熱性)」を車体側と寝具側で確保しなければならないのです。
解決策は、「換気は最小限にしつつ、空気の流れを作る」ことです。対角線上の窓をわずかに(1〜2cm)開けて空気の通り道を作り、同時にこれから紹介する「断熱材DIY」で車内の熱を逃がさない構造を作ります。寝袋のスペック(快適使用温度)を上げるのも有効な手段の一つです。
失敗しない換気の黄金比
- 窓の開け幅:1cm〜2cm(雨除けバイザー必須)
- 場所:運転席と、対角にある後部座席の窓(空気の流れを作る)
- 補助:USBファンで微風を回すと効率アップ
- 注意:風が直接体に当たらないように工夫する
鉄板剥き出しの車は「熱橋」となり結露を加速させる
窓ガラスばかりに気を取られがちですが、実は「車体のフレーム(鉄板)」も結露の発生源です。金属は熱を伝えやすいため、外の冷気がダイレクトに車内の鉄板部分に伝わります。これを建築用語で「熱橋(ヒートブリッジ)」と呼び、ここが冷え切ることで空気中の水分が結露します。
ハイエースやエブリイなどの商用バンは、荷室部分の内張りがなく鉄板がむき出しになっている箇所が多いため、この傾向が顕著です。私の友人は「窓は完璧に塞いだのに、朝起きたらピラー(柱)から水が垂れてきて顔にかかった」と嘆いていました。鉄板部分は、外気温とほぼ同じ温度まで冷え込むと考えて間違いありません。
対策は、むき出しの鉄板部分に「フェルト生地」や「カーペット」を貼って、空気が直接冷たい金属に触れないようにすることです。100円ショップで売っている裏面シールのフェルトシートでも効果があります。見た目も温かくなり、結露水が垂れてくるのも防げるので一石二鳥です。
プロの補足
本格的なキャンピングカーが「断熱施工」を高らかに謳うのは、この熱橋対策を壁の内側から徹底して行っているからです。DIYでそこまでやるのは大変ですが、「肌に触れる金属部分を減らす」だけでも快適性は段違いになります。
ホームセンターで揃う!最強の断熱材DIYと空気層の魔法

お待たせしました。ここからは、高価な純正シェードを買わずに、ホームセンターで手に入る激安資材を使って結露を攻略するDIYテクニックを解説します。
キーワードは「空気の層」です。ダウンジャケットが温かいのは、羽毛そのものが発熱しているのではなく、羽毛が「動かない空気の層」を抱え込んでいるからです。車中泊の断熱もこれと同じ。いかに窓ガラスと車内の間に「動かない空気」を作るかが勝負の分かれ目となります。
素材は「スタイロフォーム」か「プラダン」を選ぶ
DIY断熱材の主役となるのは、主に「スタイロフォーム(住宅用断熱材)」と「プラダン(プラスチックダンボール)」の2つです。どちらもホームセンターの資材売り場で簡単に入手できますが、車中泊スタイルによって向き不向きがあります。
| 素材名 | プラダン(プラスチックダンボール) | スタイロフォーム |
|---|---|---|
| 構造 | 中空構造(ストロー状の空気層) | 発泡プラスチック(微細気泡) |
| 断熱性能 | ○ 普通(空気層があるため優秀) | ◎ 最強(住宅の壁に使われる実力) |
| 加工・収納 | カッターで切れる・折り畳み可能 | 粉が出る・折り畳めない(嵩張る) |
| おすすめ | 取り外し重視のライトユーザー | 常設ベッド化するヘビーユーザー |
私のおすすめは、圧倒的に「プラダン」です。価格が安い(畳1畳分で数百円〜)だけでなく、中空構造がそのまま「空気層」の役割を果たしてくれるため、薄さの割に断熱効果が高いのが特徴です。また、折り目をつければコンパクトに収納できるため、限られた車内スペースを圧迫しません。
まずは窓の枚数分、厚さ4mm以上のプラダンを購入しましょう。色は光を通す「半透明」だと朝の光が入ってきますが、安眠を優先するなら「黒」や「白」を選ぶのが無難です。スタイロフォームは断熱性こそ最強ですが、収納時に場所を取りすぎるため、窓埋めっぱなしの「バンライフ仕様」にする人以外には扱いが難しい素材です。
選ぶべきプラダンのスペック
- 厚さ:必ず4mm以上(2.5mmはペラペラで断熱効果が低い)
- サイズ:窓より一回り大きいサイズ(900×1800mmが一般的)
- カラー:遮光性重視なら不透明色、明るさ重視なら半透明
窓ガラスと断熱材の間に「空気層」を作るのがコツ

DIY断熱において、初心者が一番やってしまうミスは「窓ガラスに断熱材をピタッと密着させてしまうこと」です。これでは断熱材自体が冷えてしまい、結局その内側で結露が始まってしまいます。
正解は、「窓ガラスとプラダンの間に1〜2cmの空間(デッドスペース)を設ける」ことです。多くの車の窓枠には奥行きがあります。この奥行きを利用して、窓ガラスに触れないように、窓枠の縁(フチ)にプラダンをはめ込むのがプロの技です。
この閉じ込められた空間こそが、最高の断熱材である「動かない空気層」となります。二重窓(ペアガラス)と同じ原理を車内で再現するのです。実際に私が温度計を設置して実験したところ、ガラス面と空気層を挟んだプラダンの内側では、5℃以上の温度差が確認できました。
空気層を作るための設置ルール
- ガラスに触れさせない:吸盤で貼り付けるのはNG。窓枠にはめる。
- 密閉する:隙間があると空気が対流して効果半減。
- スペーサー活用:どうしてもガラスに触れてしまう場合は、スポンジの切れ端をスペーサーとして挟む。
隙間厳禁!車種ごとの窓形状に合わせたカット術
「窓枠にはめ込む」ためには、窓の形状に完璧にフィットする精度が必要です。しかし、車の窓は複雑な曲線を描いており、メジャーで測った寸法通りに切っても絶対に合いません。
ここで登場するのが、現場の職人も使う「ゴミ袋型取りテクニック」です。まず、透明な45Lゴミ袋を窓に水を吹き付けて貼り付けます。そして、窓枠のラインに沿って油性ペンで線をなぞるだけ。これをプラダンに重ねて写せば、複雑なカーブも1ミリ単位でコピーできます。
カット時の極意:プラス5mmの法則
型取りしたラインぴったりに切るのではなく、全周を「5mm大きく」カットしてください。プラダンには弾力があるため、少し大きめに作ることで、窓枠にグッと押し込んだ時に突っ張り棒のような力が働き、吸盤なしでも落ちてこない「完全固定」が可能になります。
最初は少し大きすぎて入らないかもしれませんが、その場合はカッターで1mmずつ削って微調整すればOKです。逆に小さく切ってしまうとリカバリーが効きません。「大は小を兼ねる」の精神で、少しずつ現車合わせしていくのが成功への近道です。
| 固定方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 吸盤タイプ | 取り付けが簡単 | 隙間ができる・結露で落ちる・吸盤跡が残る |
| はめ込みタイプ(推奨) | 隙間ゼロ・空気層確保・落ちない | 型取りと微調整に手間がかかる |
銀マットは重ねて使う!冷気を遮断する積層構造
プラダン単体でも空気層による断熱効果はありますが、さらに完璧を目指すなら「異素材の組み合わせ」が最強です。プラダンの室内側に、キャンプ用の「銀マット(アルミロールマット)」を貼り合わせることを強くおすすめします。
プラダンの「空気の部屋」で対流を防ぎ、銀マットの「発泡層」で熱伝導を遅らせ、表面の「アルミ蒸着」で輻射熱を反射する。この3段構えのハイブリッド構造にすることで、雪山レベルの寒さでも窓際からの冷気をほぼシャットアウトできます。
作り方は簡単。カットしたプラダンに、スプレーのり(100円ショップで入手可能)で銀マットを貼り付け、余分な部分を切り落とすだけです。見た目が気になる場合は、さらにその上からお気に入りの布やリメイクシートを貼れば、車内がお洒落な部屋に早変わりしますよ。
ハイブリッド断熱シェードの構成図
- 【窓ガラス】:結露発生源
- 【空気層】:1〜2cm(ここが重要!)
- 【プラダン】:ベース材・空気断熱
- 【銀マット】:断熱強化・熱反射
- 【車内】:快適空間
吸湿剤の併用で「湿度コントロール」も忘れずに
「断熱は完璧なのに、なぜかジメジメする」という場合、単純に車内の水分量が飽和している可能性があります。特に雨の日や、鍋料理などをした後は湿度が跳ね上がります。
物理的に水分を取り除くために、家庭用の「除湿剤(タンクタイプやビーズタイプ)」を車内の足元に置いておきましょう。車中泊専用品でなくても、ドラッグストアで3個パック数百円で売っているもので十分です。一晩で驚くほど水が溜まるのを見ると、「これが結露になっていたかもしれない」とゾッとするはずです。
朝の撤収が劇的に楽になる!濡れないためのひと手間
このDIY対策を行えば、車内側のシェード表面が結露することはまずなくなります。つまり、寝袋やダウンジャケットが濡れる心配から解放されるのです。
ただし、物理法則上、断熱シェードと窓ガラスの間(空気層部分)には、どうしても薄っすらと結露が発生することがあります。しかし、これは想定内です。
朝起きたら、まずシェードを外す前にタオルを一枚用意してください。シェードを外した瞬間にサッと窓ガラスを拭き取れば、それで完了です。シェード自体はプラスチックと銀マットなので保水せず、タオルでひと拭きするだけですぐに乾きます。布製カーテンのように「生乾きで臭くなる」ストレスとは無縁です。
朝の快適ルーティン
- 起きたらまずFFヒーターや暖房をつけて車内を温める。
- シェードを外しながら、裏面の水滴をチェック。
- 窓ガラスの結露をサッと拭き取る(結露吸水タオルが便利)。
- シェードは水を弾くので、軽く拭いてすぐに収納。
まとめ:空気層を制する者が冬の車中泊を制する
最後までお読みいただきありがとうございます。今回は、車中泊の大敵である「結露」について、そのメカニズムと根本的な解決策である「断熱材DIY」を中心にお話ししました。
結露対策というと、どうしても「強力な乾燥剤」や「高価なシェード」に目が行きがちですが、本質はシンプルです。「窓ガラスと車内の間に、動かない空気の層を作る」。たったこれだけのことですが、これを意識してDIYするだけで、車中泊の朝は劇的に快適になります。
今回ご紹介したプラダンや銀マットは、どれもホームセンターで安価に手に入るものばかりです。次の休日は、ぜひ愛車の窓にぴったり合う「世界に一つだけの最強断熱シェード」を作ってみてください。きっと、あの不快な水滴に悩まされていたのが嘘のように感じるはずですよ。
それでは、結露知らずの快適なバンライフを!

