週末の釣り、楽しんでいますか。しのいちです。
釣り場に向かう道中、ピカピカに磨き上げられた最新のSUVとすれ違うことがあります。ルーフにはおしゃれなボックスを載せ、見た目は完璧な「アウトドア仕様」。でも、現場に着くと、そのオーナーさんが泥汚れを気にして恐る恐る荷物を下ろしたり、狭い駐車スペースで何度も切り返して苦労している姿を見かけるのです。
正直にお聞きします。あなたも心のどこかで「本当はもっとガンガン使い倒せる車が良いけれど、ご近所の手前、ダサい車には乗れない」なんて思っていませんか。その気持ち、痛いほど分かります。車は高い買い物ですから、見栄えを気にするのは当然です。
ですが、数多くの中古車を見てきた私の経験から言わせてください。傷を恐れて気を使うような車は、アングラーにとって最高の「道具」とは言えません。そろそろ、誰かのための「映える車」ではなく、あなたの釣果のための「使える車」を選びませんか。
この記事では、メーカーのカタログには載っていない、現場視点での釣り車選びの真実をお伝えします。
- おしゃれなSUVが釣り場で抱える決定的な弱点とは
- プロが実用性だけで選ぶ最強の釣り車の条件
- 傷だらけの商用車こそが至高の隠れ家になる理由
- 今の愛車を「本気の釣り仕様」に変える現実的な対策
この章のナビゲーション
カタログスペックやSNSのキラキラした投稿では語られない、過酷な「現場」で直面するSUVの弱点を深掘りします。見栄を張った代償として、どれだけのストレスがアングラーを襲うのか。その真実を一緒に見ていきましょう。
流行りのSUVで満足ですか?現場で痛感する「釣り車の不都合な真実」

その高級シート、泥とコマセの臭いに耐えられますか
結論から言うと、高級感あふれるファブリックや本革のシートは、アングラーにとって「時限爆弾」のようなものです。
理由は単純。釣り場の泥や海水、そして何より強烈な「コマセ(撒き餌)」の臭いは、一度繊維の奥まで染み込むと、家庭用のクリーナー程度ではまず落ちないからです。
私の知人に、奮発して高級SUVを買ったアングラーがいました。彼は「防水スプレーを振ったから大丈夫」と笑っていましたが、ある日、車内でバッカンをひっくり返してしまったんです。結果は悲惨でした。数日後には車内に異臭が漂い、奥様からは「臭すぎて乗れない」と拒絶され、最終的には査定額が大幅に下がるのを承知で手放すことになりました。
今日からできるアクション:もし今、布製シートの車に乗っているなら、100均のビニールシートでも良いので「座面だけでなく足元まで」隙間なく覆ってください。市販の「汎用防水カバー」を常備するのも基本中の基本ですよ。
「撥水加工」と「完全防水」は全くの別物です。撥水は時間の経過とともに染み込みますが、完全防水(ビニール素材等)は物理的に遮断します。釣り車には「完全防水」一択ですよ。
見た目だけのルーフキャリアがもたらす風切り音の悲劇
「アウトドアならルーフボックス」という安易な選択は、高速道路での快適性と燃費を著しく損なう原因になります。
SUVの屋根に載せた大きなボックスは、空気抵抗を極端に増やします。特に時速80kmを超えたあたりから発生する「コー」という風切り音は、長距離ドライブの精神的な疲れを確実に倍増させます。
取材したベテランアングラーの多くが、「最初はカッコいいと思って付けたけど、結局積み下ろしが面倒で使わなくなった」と口を揃えます。また、見落としがちなのが「高さ制限」です。古い漁港や林道のゲート、立体駐車場などで「あと数センチ」のせいで進入を断念するケースは、釣り場では本当によくある話なんですよね。
今日からできるアクション:ルーフボックスを検討する前に、まずは車内の「ロッドホルダー」を導入して、デッドスペースである天井付近を有効活用できないか試行錯誤してみてください。
車内積載のメリット
・走行中の風切り音がゼロ
・タックルの盗難リスクが激減する
・雨の日でも濡れずに準備ができる
「デカいは正義」の嘘。日本の漁港でUターンできない絶望感
日本の古い漁港や堤防の道は、基本的に「軽トラ」が通れるサイズで設計されているという事実を忘れてはいけません。
フルサイズのSUVや輸入車は、広い道では快適ですが、釣り場の一番奥にある「最高のポイント」に辿り着くための細い角を曲がれないことが多々あります。
以前、取材中に出会ったアングラーは、立派な外車SUVで漁港のどん詰まりまで入ってしまい、数センチ単位の切り返しを30分以上繰り返していました。結局、彼は釣りを始める前に疲れ果て、おまけにバンパーを縁石で擦ってしまって……。せっかくの朝マズメを台無しにする姿は、見ていて本当にかわいそうでした。
| 項目 | 大型SUV・アメ車 | 軽バン・コンパクト車 |
|---|---|---|
| 狭い漁港での取り回し | 絶望的(バックで戻る羽目に) | スイスイ(Uターンも余裕) |
| 駐車スペースの確保 | 場所を選ぶ(はみ出す) | どこでも停められる |
| 林道の離合(すれ違い) | 相手に道を譲らせる威圧感 | 端に寄ってスマートに回避 |
今日からできるアクション:車を買い替える際は、カタログの馬力よりも「最小回転半径」を必ずチェックしてください。5.0m以下であれば、日本の大抵の釣り場ではストレスなく動けるはずですよ。
傷を恐れて藪漕ぎを躊躇するならアングラー失格
木の枝がボディを「キーッ」と擦る音がしても、笑って前進できる車こそが、真の釣り車です。
一級のポイントほど、未舗装の林道や背丈ほどの草が生い茂る道の先にあります。ピカピカのボディを維持することに必死なオーナーは、無意識のうちに「車が傷つかない場所」でしか釣りをしなくなります。これでは本末転倒ですよね。
私が尊敬するベテランの川釣り師は、あえて「最初から傷だらけの中古ジムニー」を選んでいます。彼は「傷は勲章だよ」と言いながら、高級SUVが立ち往生するような藪の中へ平然と突っ込んでいきます。その結果、誰も竿を出していない秘境で爆釣するわけです。車の価値を守るために釣果を犠牲にするなんて、アングラーとしては寂しいと思いませんか。
今日からできるアクション:もし新車に近い状態なら、まずは「サイドステップ」や「バンパー下部」だけでも、傷に強いチッピング塗装やプロテクションフィルムで保護してみてください。それだけで、攻めの姿勢が変わります。
「車を綺麗に保ちたい」という欲求は、釣りにおいては最大の弱点になり得ます。道具として使い倒す覚悟が決まると、不思議と釣果も上がってくるものですよ。
結局「気を使わずに使い倒せる道具」が最強である理由
釣り車における「最強」の定義は、走行性能でも豪華さでもなく、アングラーの「心の自由度」をどれだけ広げてくれるかにあります。
車を単なる移動手段ではなく、ウェーダーを履いたまま乗り込み、濡れたタックルを放り込める「動く基地」として捉えることができれば、釣りのスタイルは劇的に進化します。汚れを気にするストレスから解放されると、より良いポイントを求めて移動するフットワークが軽くなるからです。
取材を通じて多くの「釣果を出す人」を見てきましたが、彼らの車は決まって、外装は泥をまとい、内装は機能的に整理された「使い込まれた道具」の顔をしています。一方で、車を汚したくない人は、天候が悪化し始めると早々に切り上げてしまいます。この「あと1時間、粘れるかどうか」の差が、最終的な釣果の差となって現れる。これは決して大げさな話ではないんですよ。
今日からできるアクション:一度、自分の車に対して「これは傷ついても良い道具だ」と自分に言い聞かせてみてください。もし、どうしてもそう思えないのであれば、その車はあなたにとって「釣り車」としては不適合なのかもしれません。
メンタルが釣果を変える理由
・移動の躊躇(ちゅうちょ)がなくなる
・時マズメの集中力が維持できる
・後片付けの時間を短縮し、釣りに充てられる
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ここからは、見栄を捨てて「機能」に振り切った時の、具体的な車種選びや装備の基準について解説します。本当の意味で「釣りに勝てる車」とはどんなスペックを持っているのか、プロの視点で紐解いていきましょう。
釣果に直結する「真の相棒」を選ぶための絶対条件と具体策

快適性よりタフネス。ホースで洗える内装こそが至高
究極の釣り車は、内装が「プラスチックとビニール」で構成されているべきです。
商用車(バン)の荷室がなぜあんなに質素なのか。それは、汚れることを前提に作られ、濡れ雑巾でひと拭きすれば元通りになるように設計されているからです。高級車のような起毛素材のカーペットや布張りは、一度水分や汚れを吸うとバクテリアの温床になり、取り返しのつかない悪臭の原因となります。
私は以前、プロボックスを釣り仕様に改造している方に取材したことがありますが、彼は「アオリイカのスミが付いても、パーツクリーナーでサッと拭くだけで終わる」と豪語していました。この「メンテナンスの容易さ」こそが、疲労困憊で帰宅するアングラーにとって最大の救いになるのです。
今日からできるアクション:新車や高年式の車に乗っている方は、純正のフロアマットを脱ぎ捨てて、車種専用の「立体3Dラバーマット」に交換してください。これだけで、砂や泥が車体の床に直接落ちるのを完全に防げますよ。
| 内装素材 | 釣りへの適性 | メリット・デメリット |
|---|---|---|
| ビニール/プラスチック | ★★★★★ | 水洗いや拭き掃除が秒速で終わる。見た目は質素。 |
| 防水シートカバー装着 | ★★★☆☆ | 既存の車を保護できる。隙間からの浸入には注意。 |
| 純正ファブリック/本革 | ★☆☆☆☆ | 高級感はあるが、臭いや汚れが染み込むと致命的。 |
ロッドは車内積載が基本。盗難リスクと準備の手間を削減
大切なタックルを守り、釣り場での「戦闘開始」を最速にするには、ロッドの車内積載が絶対条件です。
ルーフボックスは一見便利ですが、サービスエリアでの仮眠中やコンビニに寄った際、ボックスごと破壊されて数十万円のタックルが盗まれる被害が後を絶ちません。また、現場に着いてからキャリアから下ろし、リールをセットする手間は、貴重な朝マズメの時間をジワジワと削り取っていきます。
私の取材経験では、釣果を伸ばす人ほど「車内ロッドホルダー」を使い、家を出る時点でリールもラインもセットした状態で天井に吊るしています。ポイントに着いたら、ドアを開けてロッドを手に取るだけ。このわずか3分の差が、先行者にポイントを譲らずに済むかどうかの分かれ道になるんです。
車内積載を勧める3つの理由
・盗難防止:外から見えにくく、物理的に盗まれにくい。
・機動力アップ:現場到着後、即キャストが可能になる。
・破損防止:走行中の飛び石や、不意の落下事故を防げる。
今日からできるアクション:カーメイト(INNO)などの車種専用ロッドホルダーを導入しましょう。もし予算が厳しいなら、インテリアバーを2本渡すだけでも十分です。ただし、頭上のクリアランス(隙間)だけは事前にしっかり計測してくださいね。
ロッドを天井に吊るす際は、必ず「ティップ(竿先)」がリアガラスに干渉しないか確認してください。バックドアを閉めた衝撃でポキッ……なんて悲劇、私は何度も見てきましたから。
狭い林道も恐くない。軽バン・商用車という玄人の選択肢
本気で釣果を追い求めるなら、最終的に行き着く答えは「軽バン」か「プロボックス」のような商用車です。
これらの車は、華奢に見えて実はタフ。重い荷物を積んで走り回ることを前提に設計されているため、足回りが非常に頑丈です。そして最大の武器は、その「圧倒的な小回り」と「スクエアな空間」です。SUVが立ち往生する狭い林道の離合でも、軽バンならスルスルと回避し、その先の「手付かずのポイント」に一番乗りできます。
ある取材で出会ったプロアングラーは、数千万円の年収がありながら、あえて中古のハイゼットカーゴを乗り継いでいました。「この狭さが、ちょうどいいコクピットになるんだよ」と語る彼の車内には、完璧に計算された棚が組まれ、車中泊もこなせる至高の空間が広がっていました。
| 車種タイプ | 釣りでのメリット | ここがデメリット |
|---|---|---|
| 軽バン(エブリイ等) | 維持費が激安。狭い道での最強の機動力。 | 高速道路の長距離移動は少し疲れる。 |
| 商用バン(プロボックス等) | 燃費と積載のバランスが最高。耐久性はお墨付き。 | 後部座席が狭く、家族サービスには不向き。 |
| ミニバン(セレナ等) | 家族との共有が可能。室内が広く、車中泊が快適。 | 内装が豪華すぎて、汚れに神経を使う。 |
今日からできるアクション:次に車を買い換える際は、ぜひ一度「軽バン」に試乗してみてください。特にスズキのエブリイやダイハツのハイゼットは、釣り人のためのカスタムパーツが豊富で、自分だけの「基地」を作る楽しさが無限大ですよ。
プロの視点:商用車は「4ナンバー(貨物車)」登録になるため、毎年の自動車税が非常に安く抑えられます。その浮いたお金で、もう一本ハイエンドなロッドが買えてしまいますよ。
それでもSUVに乗りたい人がやるべき最低限の防水対策
「やっぱり見た目も大事だ」という気持ちは否定しません。SUVで釣りに通うなら、徹底的な「内装の重武装」を施しましょう。
特に注意すべきは、リアのラゲッジルームと運転席の足元です。標準のカーペットは泥や砂が絡むと掃除機でも吸い出せなくなり、時間の経過とともに湿気を吸ってカビの原因になります。
私が取材したアングラーの中には、新車のランドクルーザーに乗りつつ、ラゲッジ全体を厚手の「建築用養生シート」で覆っている強者がいました。彼はその上に、さらに縁の高い3Dラゲッジトレイを重ねていましたね。「ここまでやれば、濡れたウェーダーをそのまま放り込んでも、下取り査定には響かないんだよ」と笑っていました。
SUVを守る3種の神器
・3Dラバーフロアマット:砂、泥、水を物理的に閉じ込める。
・ウェットスーツ素材のシートカバー:濡れたままの移動が可能。
・ラゲッジトレイ(縁高タイプ):バッカンの水漏れを完全にガード。
今日からできるアクション:SUVなら「車種専用」の防水パーツが必ず売っています。汎用品は隙間から水が漏れるので、数千円高くても「専用設計」を選んでください。それが将来、車を高く売るための投資になりますよ。
今の車が「足かせ」になっているなら乗り換えも戦略の一つ
もし「車を汚したくないから、あのポイントに行くのはやめよう」と一度でも思ったことがあるなら、その車はあなたの釣りの成長を止めています。
アングラーにとって車は、釣果を最大化するための「ギア(道具)」であるべきです。高いローンを払っている高級SUVの維持費が重く、ガソリン代を渋って釣行を控えるようでは本末転倒ですよね。
実際に「なんちゃってSUV」から「中古の軽バン」に乗り換えた読者の方からは、「精神的に楽になった。狭い道もガンガン行けるので、釣果が2倍になった」という報告をよくいただきます。浮いた維持費で高級リールを買い揃え、気兼ねなく車中泊を楽しむ。これこそが、大人のアングラーの賢い選択と言えるのではないでしょうか。
今日からできるアクション:まずは今の愛車が「いくらで売れるか」を把握しましょう。中古車市場では、SUVの人気は根強く、意外なほど高値がつきます。その資金で「本気の釣り車」と「最高のタックル」を手に入れるシミュレーションをしてみてください。
今の車に無理して乗り続けるストレスと、乗り換えて得られる釣果。どちらがあなたにとって価値があるか、一度冷静に天秤にかけてみてください。正確な相場を知るなら、複数の業者の査定額を比較できる一括査定サイトが便利ですよ。
維持費を下げて釣行回数を増やす賢いカーライフの始め方
釣り車の維持費を最小化する秘訣は、商用車登録(4ナンバー)の活用と、リセールバリュー(再販価値)の低い「道具感」のある車を選ぶことです。
例えばエブリイやハイゼットなどの軽バンは、自動車税が年間5,000円程度と驚くほど安く済みます。普通車の半分以下の維持費で済むなら、その分を遠征費用や遊漁船の乗船代に回せますよね。
ある取材で出会った方は、メインの普通車を手放し、2台の中古軽バンを10年かけて乗り潰すスタイルを貫いていました。「車なんて走ればいい。浮いた金で全国の聖地を回る方が、人生の密度が上がるだろ?」という言葉には、一人のアングラーとしての強い信念を感じました。
| コスト項目 | 一般的なミニバン/SUV | 軽バン(4ナンバー) |
|---|---|---|
| 自動車税(年間) | 約30,000円〜 | 約5,000円 |
| タイヤ交換費用 | 高額(大径サイズ) | 激安(商用サイズ) |
| 燃費・高速料金 | それなりにかかる | 軽料金で遠征も安心 |
今日からできるアクション:「釣りのためだけのサブカー」を持つという選択肢もアリです。メインの車を安い中古に落として、浮いた差額で「本気の釣り専用車」を手に入れる。一度計算してみると、意外と現実的なことに驚くはずですよ。
しのいちの独り言: 最後は結局「何を優先するか」です。でもね、一生のうちで釣りができる回数は限られています。その一回一回を、車の汚れを気にして台無しにするのだけは、本当にもったいないことだと思うんです。
まとめ
いかがでしたか。釣り車選びは、単なる車種選びではなく「どんな釣り人生を送りたいか」という決意表明でもあります。
都会で「映える」SUVも素敵ですが、泥だらけになっても、魚の臭いが染み付いても、それすらも愛着に変えられる「本気の相棒」に出会えた時、あなたの釣りはもっと自由で、もっと深いものになるはずです。
もし今の車があなたのフットワークを重くしているなら、一度リセットして「道具としての車」を探してみてはいかがでしょうか。その勇気ある一歩が、次の週末の「一生忘れられない一匹」に繋がっているかもしれませんよ。
あなたの釣りが、最高に充実したものになることを願っています。

