どうも、こんにちは!「満福ログ」運営者のしのいちです。独立してライター5年目、日々いろんなジャンルの情報をインプット&発信しています。
最近、「勉強になる漫画」っていうキーワードで検索する人がすごく増えてるみたいですね。あなたも「どうせ漫画読むなら、何かタメになる作品ないかな?」「子どもにも読んでほしいけど、大人が読んでも勉強になるような作品って?」なんて思ってませんか?
一昔前だと「漫画ばっかり読んで!」なんて言われたものですが、いやいや、とんでもない。今の漫画は、エンターテインメントとして面白いのはもちろん、東大生が選ぶような作品もあったり、理科や数学、社会といった分野の知識が楽しく学べる「学習漫画」として、めちゃくちゃ進化してるんですよ。
特に、体の仕組みをわかりやすく描いた作品や、歴史の深い部分に切り込んだ作品は、大人になってから読むと「そういうことだったのか!」と新たな発見があって、本当に夢中になっちゃいます。
この記事では、ライターとして様々なジャンルに触れてきた僕、しのいちが、「これは本当に勉強になる!」と太鼓判を押す3つの漫画作品を、その魅力や学べるポイントと共に徹底的に深掘りしていきます。ただのあらすじ紹介じゃなく、「なぜこれが学びにつながるのか」を、僕の視点で熱く語らせてもらいますよ!
- 漫画が最強の「学習ツール」である理由
- 学びを深める漫画の「注意点」と「選び方」
- 「働く細胞」で知る驚きの「体の中の仕組み」
- 「和算に恋した少女」で学ぶ「数学の本質」
- 「夕凪の街 桜の国」が問いかける「戦争と歴史」
勉強になる漫画の魅力と選び方
まずは、「なんで漫画が勉強になるの?」っていうところから。僕がライターとしていろんな知識を詰め込む時にも、実は漫画って最強の「入口」になってくれるんですよ。その理由と、作品を選ぶときのちょっとしたコツをお話ししますね。
大人もハマる学習漫画の利点
「漫画=子どもの読み物」なんて思ってたら、それはもう大間違いですよ! 僕ら大人が読んでも、いや、大人だからこそ深く学べるのが、今の「勉強になる漫画」なんです。
僕も仕事柄、医療、歴史、科学、経済…と、いろんなジャンルの記事を書くために勉強しますが、分厚い専門書って、開いた瞬間に眠くなりません?(笑)
でも、漫画ならスッと頭に入ってくる。これにはちゃんとした理由があるんです。
漫画が「学習」に強い6つの理由
- 楽しく知識を得られる: 何よりこれ!「楽しい」って感情は、脳の記憶を司る「海馬」を刺激して、知識の吸収率を格段に上げるんですよ。
- 解りやすい(ビジュアル化): 例えば「体の仕組み」みたいな複雑なテーマも、絵とキャラクターがいれば一目瞭然。文字だけじゃイメージしづらいものが、視覚的に理解できます。
- 共感力が高い: 主人公やキャラクターに感情移入することで、そのテーマが「自分ごと」になります。
- 読み進めやすい: ストーリー展開があるので、飽きずに最後まで読み切れます。専門書だとこうはいかないですよね。
- 難しいテーマでも苦手意識が低い: 「数学」とか「戦争」とか、ちょっと構えちゃうテーマでも、漫画なら「ちょっと読んでみようかな」って思えます。
- 興味・関心が膨らみやすい: 漫画を入口に、「あれ、もっと知りたいかも」って専門的な本に進んでいく。この「足掛かり」としての役割が最高なんです。
ライターの僕から見ても、漫画って「情報を伝える」ための工夫が半端ない。限られたフキダシの文字数で、的確に情報を伝えるって、実はものすごいライティング技術なんですよ。
だから、難しいテーマでも情報が選び抜かれていて、スッと入ってくる。これはもう、小説や新聞といった「活字」だけの世界にはない、漫画ならではの強みかなと思います。
勉強になる漫画を読む際の注意点
ただ、ひとつだけ。勉強になる漫画を読むときに、絶対に知っておいてほしい注意点があります。ここ、めちゃくちゃ大事なポイントですよ。
それは、「勉強になる漫画(学習漫画)=参考書ではない」ということです。
どういうことか?
例えば、歴史をテーマにした漫画を読んだとします。そこに歴史の専門家がやってきて、「ここの描写は史実と違う!」「この解釈は間違ってる!」って声を荒げることがあります。まぁ、プロから見たら気になる部分もあるんでしょう。
でも、そこで「じゃあこの漫画はダメだ」って切り捨てるのは、最高にもったいない!
漫画は「教科書」ではなく「問い」をくれる
忘れてはいけないのは、漫画はあくまで「フィクション」であり「エンターテインメント」だということです。歴史書や医学書そのものではありません。
大事なのは、漫画から「100%正しい知識」を得ることじゃなくて、「自分なりの着眼点」や「疑問」を持つことなんです。
「あれ、この描写って実際はどうだったんだろう?」
「この時代背景、もっと詳しく知りたいな」
この「?」こそが、学びの第一歩。漫画は、その「知りたい!」っていう欲求を掻き立ててくれる最高の“架け橋”なんですよ。
もし漫画と史実の違いを見つけたら、「なんで作者はあえて違う描写にしたんだろう?」って考えてみる。そこに作者の「伝えたいメッセージ」が隠されているかもしれない。そうやって“違い”を知ること自体が、めちゃくちゃ深い「勉強」じゃないですか?
漫画に対しても、そのジャンルに対しても、両方の知識が深まる。これこそ、勉強になる漫画を読む最大の意義だと僕は思います。
健康や体について学べる作品
さあ、前置きが長くなりましたが、ここからは僕がガチでおすすめする作品を深掘りしていきますよ!
まず1作品目は、もう「勉強になる漫画」の代名詞と言ってもいいかもしれない、あの大ヒット作です。僕もライター仕事で健康系の記事を書くときは、この作品のおかげで人体の仕組みをイメージしやすくなって、本当に助けられました。
小学生から大人まで、家族みんなで楽しめる。自分の「体」への意識がガラッと変わる一冊です。
生物の仕組みを楽しく知る
その作品とは、ご存知『働く細胞』(清水茜 著 / 講談社)です!
この漫画の何がすごいって、とにかくその発想。僕たちの体の中にある数十兆個の「細胞」たちを、全部『擬人化』しちゃったんですよ。
例えば、「赤血球」と「白血球」。
教科書で習うと、こんな感じですよね。
赤血球:酸素を運搬する。ヘモグロビンが酸素と結合し全身へ運ぶ。
白血球:体内に侵入した外敵(細菌やウイルス)から体を守る。
ふーん、そうなんだ。で終わっちゃう。何の感慨もないですよね。
ところが、『働く細胞』にかかるとこうなります。
働く細胞の赤血球
赤い服を着た、新米の運送屋さん(女の子)。体中に酸素(荷物)を届けるけど、超絶な方向音痴ですぐ道に迷うドジっ子。でも仕事への責任感は人一倍!
働く細胞の白血球(好中球)
真っ白な作業服のクールなイケメン。普段は不器用だけど、外敵(細菌)を見つけると「死ねや雑菌がァ!」とブチギレて狂暴化。でも迷子の赤血球を助けてくれる面倒見の良さも。
どうです?
一気に「キャラクター」として魅力的になりません?(笑)
「あー、赤血球ちゃん、今日も迷ってんなぁ」「白血球さん、仕事しすぎ!」みたいに、キャラクターに愛着が湧くんです。
でも、これがただのキャラ萌え漫画じゃないのがポイント。この「ドジっ子」とか「狂暴化」っていう性格付け自体が、細胞の実際の「働き」や「特徴」に全部ひも付いてるんですよ!
例えば、白血球には「遊走」といって、血管の壁をすり抜けて組織のどこにでも駆けつける能力があります。だから、漫画でもピンチの赤血球のもとにすぐ駆けつけられる。
細菌を感知する「レセプター」っていうレーダー機能が、漫画の中ではちょっとレトロなアンテナとして描かれていたり。こういう視覚的な「フック」があるから、読者は一発で「白血球の能力」として記憶できるんです。
これ、最強の暗記法だと思いませんか?
『働く細胞』の魅力と学び
『働く細胞』のすごさは、赤血球や白血球だけじゃありません。他の細胞たちも、まぁ?個性的で魅力的なんですよ。
特に僕が「うまい!」と思ったキャラクターを、その「学び」ポイントと一緒に紹介させてください。
みんなのアイドル「血小板」
この作品で爆発的な人気を誇るのが、「血小板」ちゃんたち。
実際の血小板は「血管が傷ついた時に傷口を塞いで血を止める」役割を持っています。その役割を、漫画では幼稚園児みたいな小さな子どもたちとして描いているんです。
「血小板」って書かれた帽子をかぶって、いつも「わー!」「きゃー!」って集団で行動してる。その仕草がもう、めちゃくちゃ可愛い。
でも、ただ可愛いだけじゃない。
彼らがいつも「まとまって行動している」こと。これがミソなんです。実際の血小板も、単独では機能せず、チームワークで凝集して傷口を塞ぎます。この「集団で働く」という性質を、「小さな子たちが一生懸命まとまって行動する」というビジュアルで見事に表現してるんですよ。
そして、彼らが作るのが「かさぶた」。
「かさぶたって何でできるの?」って子どもに聞かれたら、どう説明します?
「えーっと、血が固まって…」とか曖昧になっちゃいますよね。
インプットされた記事DB(働く細胞②)によると、こう解説されています。
擦り傷などができて細菌が侵入しないよう、血小板が「血栓」を作って傷口を塞ぐ。この血栓の外側で細胞壁から染み出た「細胞液」が乾いたもの。それが、かさぶた。
ね、ちょっと小難しい。でも漫画では、血小板ちゃんたちが「はい、通行止めでーす!」「こっちこっち!」って言いながら、デカい血栓(凝集因子)のブロックを運んできて傷口を塞ぐ「工事現場」みたいに描かれます。だから、読者は「あ、かさぶたって、血小板ちゃんたちの工事のおかげなんだ」って直感的に理解できるんです。
ギャップ萌え?「キラーT細胞」と仲間たち
免疫系の細胞たちも面白いですよ。特に「T細胞」と呼ばれる部隊には、いろんな奴らがいます。
・キラーT細胞(細胞傷害性T細胞)
『KILL』って書かれた黒い服を着た、筋骨隆々の「殺し屋」。司令が出たら即現場に急行し、ウイルス感染細胞などを物理的にブッ殺す、超獰猛な部隊です。
・メモリーT細胞
キラーT細胞の一部が変化した姿。一度戦った敵(抗原)の情報を「記憶」し、『MEMORY』と書かれた帽子をかぶり、その記憶を「本」の形で持っています。次に同じ敵が来たら、すぐに対応できるようにするため。まさに「記憶細胞」ですね。
・ナイーブT細胞
「ナイーブ」の名前の通り、まだ敵(抗原)に出会ったことがない、超弱気で泣き虫な細胞。「僕なんて…」が口癖です。
ここで面白いのが、このナイーブT細胞の「変化」。
「樹状細胞」っていう、敵の情報をプレゼンして回る細胞がいるんですが、彼によって「活性化」されると、この泣き虫だったナイーブT細胞が…
180度ガラッと性格が変わって、劇画タッチの超マッチョ(キラーT細胞以上に逞しい)に変貌するんです!
この「活性化前(泣き虫)」と「活性化後(劇画マッチョ)」のギャップ! これで「T細胞は活性化すると強くなる」っていう仕組みが、笑いながら記憶に残る。最高ですよね。
最強の「お姉さん」マクロファージ
もう一人、ギャップがすごいのが「マクロファージ」さん。
見た目は、フリフリのドレスを着た、上品で優しい「きれいなお姉さん」。いつもニコニコして、赤血球の赤ちゃん(赤芽球)を育てる「保育士」さんみたいな仕事もしています。
が、しかし。
彼女も白血球の一種。ひとたび細菌が現れると、そのニコニコ顔のまま、巨大なナタを振り回して敵を惨殺していきます。その殺傷能力は作中最強クラス。
「保育士」であり「殺し屋」でもある。このギャップも、マクロファージが「貪食(細菌を食べる)」「抗原提示」「サイトカイン産生」「組織の修復」など、体の中でめちゃくちゃ多くの役割(多くの顔)を持っていることを見事に表現してるんですよね。
インフルエンザ、スギ花粉、がん細胞…と、敵も身近な奴らばかり。風邪をひいた時、「あ、今ごろ体の中で白血球さんたちが戦ってくれてる…!」って、自分の体に感謝したくなる。そんな漫画です。
ジャンル別おすすめの勉強になる漫画
さて、2作品目と3作品目は、ガラッとジャンルを変えてみましょう。『働く細胞』が「理科(生物)」なら、次は「数学(算数)」と「社会(歴史)」の分野から、これまた大人が読んでも骨太な学びを得られる作品を紹介しますよ!
数学や算数が面白くなる漫画
「いやいや、しのいちさん。数学だけはカンベン…」
って思いました?(笑)わかります。僕も数学は得意な方じゃなかった。でも、この作品を読んで、「あ、算数って、数学って、本当はこんなに面白かったのかも」って、大人になってから気づかされました。
ただ計算ドリルを解くんじゃなくて、「考えること」そのものの楽しさを教えてくれる一冊です。
『和算に恋した少女』の面白さ
その作品は、『和算に恋した少女』(中川真・風狸けん 著 / 小学館)です。
舞台は江戸時代。主人公は和算家の少女・米倉律(よねくら りつ)。彼女が、同心の深井転(ふかい うたた)と共に、江戸で起こる事件を「算術(和算)」で解決していくという、1話完結タイプの推理漫画です。
「算術」って、そもそも何?
「和算」とか「算術」って聞くと、難しそうですよね。でも、インプットされた記事DB(和算に恋した少女①)によると、算術っていうのは、今の「算数」のこと。昭和16年までは「算術」って呼ばれていたそうなんです。
「なーんだ、算数か」って思いますよね。でも、この漫画が問いかけてくるのは、僕らが「知ってるつもり」の算数の、もっと奥深い“本質”の部分なんです。
ちょっと、ここで問題です。ペルソナ(しのいち)の僕から、あなたに挑戦状!
【問題】 3+2×5
はい、答えは?
・・・「13」ですよね。大丈夫ですよね?(笑)
(2×5=10、10+3=13)
まさか「左から計算して、3+2=5、5×5=25」なんて答えてないですよね?
では、次の質問です。
「なんで、掛け算(×)を先に計算しなきゃいけないんですか?」
・・・。
どうでしょう? パッと答えられますか?
「だって、そう教わったから」
「そういうルールだから」
たぶん、ほとんどの人がそう答えるんじゃないでしょうか。僕もそうでした。でも、子どもに「なんでなんで?」って聞かれたら、これじゃ答えになってない。
この漫画『和算に恋した少女』が教えてくれるのは、この「なんで?」を突き詰めて考えることの面白さなんです。
なぜ「×」を先に計算するのか?
この漫画(を元にした記事DB)では、この「なんで?」に、ちゃんとスッキリする答えをくれます。
(インプットされた記事DB(和算に恋した少女③、④)を僕なりに要約しますね)
そもそも「掛け算(a×b)」の定義って、「aをb個分、足すこと」ですよね。
つまり、
2×5 = 2+2+2+2+2
ということは、さっきの「3+2×5」を、全部「足し算」の世界(同じ概念の次元)で書き直してみると…
3 + (2+2+2+2+2)
ほら。こうなれば、全部「足し算」なんだから、どこから計算したって答えは「13」ですよね。
掛け算(×)は、足し算(+)を省略して書くための“便利な記号”だったんです。だから、計算するときは、まず省略されてる掛け算を、元の足し算に戻してあげないといけない。これが「掛け算を先に計算する」ことの正体。
「足し算」と「掛け算」は、そもそも概念の次元が違うから、次元を揃えてから計算しましょうね、ってことだったんです。
さらに、この「掛け算を先に計算する」というルールが定着したのにも、ちゃんと「日常生活に即した合理的な理由」があった、と記事DBは解説しています。
例えば、スーパーで「100円の皿を5枚、200円の皿を3枚」取った時、僕らの頭の中は…
(100×5)+(200×3)
って、無意識に「掛け算を先」にやってませんか?
日常生活で計算が必要になる場面って、「足してから掛ける」場面より、「掛けてから足す」場面の方が圧倒的に多いんです。だから、いちいち()カッコを付けなくても計算しやすいように、「掛け算・割り算を先にする」っていう合理的なルールが生まれた、というわけ。
どうです?
「ルールだから覚えろ!」じゃなくて、「その方が合理的だから、みんなでそう決めたんだよ」って言われると、めちゃくちゃスッキリしませんか?
『和算に恋した少女』は、こういう「算数の“なぜ?”」を、主人公・律のずば抜けた発想力と、江戸時代のミステリーを通して、鮮やかに解き明かしてくれるんです。
「算術とは、筋道をたてて考えていく力を育むこと」。
この漫画を読むと、計算力じゃなくて、物事を論理的に考える「思考力」こそが、算数・数学の本当の面白さなんだって気づかせてくれますよ。
歴史や戦争を考えるきっかけ
さて、最後の3作品目です。
これは、「勉強になる」と言っても、知識が直接的に増えるのとは少し違うかもしれません。でも、僕ら日本人として、そして今の時代を生きる一人の人間として、「絶対に知っておくべきこと」「考え続けるべきこと」を、静かに、でも、とてつもなく重く問いかけてくる作品です。
ライターという仕事柄、言葉の「重み」は常に意識していますが、この作品が放つ言葉の重さ、そして「言葉にしない」表現の重さには、本当に胸を打たれました。
『夕凪の街 桜の国』の学び
その作品は、『夕凪の街 桜の国』(こうの 史代 著 / 双葉社)です。『この世界の片隅に』の著者、こうの史代さんの作品ですね。
この漫画が取り上げているテーマは、「原爆」です。
「原爆の漫画」と聞くと、投下直後の悲惨な状況、キノコ雲、地獄絵図…そういうものを想像するかもしれません。もちろん、そうした作品も戦争の恐ろしさを伝える上で非常に重要です。
ですが、この『夕凪の街 桜の国』のすごさは、その「直接的な悲惨さ」を描くのではなく、原爆が投下された「その後」を生きる人々の日常と、その心に深く残った「傷跡」を、静かに丁寧に描いている点にあります。
物語は大きく3部構成(インプットされた記事DBでは3部構成としていますが、一般的には「夕凪の街」と「桜の国(1)(2)」の2部構成、あるいは3つの物語と解釈されますね)になっています。
第1部『夕凪の街』―生き残った者の「罪悪感」
舞台は、原爆投下から10年後の広島(1955年)。主人公は、被爆した女性・平野皆実(ひらの みなみ)です。
街は復興し、皆実も仕事を見つけ、母親と二人、ささやかな日常を取り戻しつつあります。同僚の男性・打越さんから好意を寄せられ、幸せになれるかもしれない…そんな時です。
でも、彼女は素直に幸せを受け入れられない。
ふとした日常の瞬間―他人の家族団らんを見た時、同僚のワンピースを見た時、彼女の心に、あの日の記憶が蘇ります。
彼女が抱えているのは、「自分だけが生き残ってしまった」という強烈な罪悪感です。
「ウチが幸せになっちゃいけん(いけない)のじゃ」
大切な人が大勢亡くなったのに、自分だけが生き残り、普通の暮らしをして、幸せになろうとしている。それが「亡くなった人たちへの裏切り」のように感じてしまう。
戦争は、人を殺すだけじゃない。生き残った人の心をも縛り付け、人としての当たり前の「幸せ」を願うことすらできなくさせてしまう。その「戦争のむごさ」を生々しく伝えてくれるのが、この第1部です。
第2・3部『桜の国』―被爆2世という「ルーツ」
時代は移り、1987年、2004年の東京。主人公は、第1部の皆実の姪にあたる、石川七波(いしかわ ななみ)です。
彼女は、母が被爆者である「被爆2世」。
七波自身は、原爆を遠い過去の出来事として、無関心に生きてきました。それは、今の僕たち多くの読者の姿と重なるかもしれません。
しかし、彼女の弟・凪生(なぎお)が、「被爆2世である」ことを理由に失恋します。
当人同士は良くても、相手の親が反対する。これは漫画の中だけの話ではなく、実際にあった(今もあるかもしれない)差別です。
この身近な出来事をきっかけに、七波は初めて「原爆」を「自分自身の問題」として捉え直し、自分のルーツ(両親や祖母たちがどう生きてきたか)と向き合い始めます。
原爆は、遠い過去の悲劇じゃない。今を生きる自分たちに、そして自分の大切な人たちに、ずっと関わり続けている問題なんだと気づくんです。
インプットされた記事DB(夕凪の街 桜の国④)にもあるように、この作品は言葉に頼らない表現が本当に秀逸です。だからこそ、七波が自分のルーツを受け入れ、両親の出会いを心から祝福する場面の言葉や、第1部の皆実が葛藤の末に前を向こうとする瞬間のセリフが、とてつもない重みを持って心に響きます。
戦争や被爆といったテーマは、非常にデリケートで重いものです。ですが、戦争を体験していない僕たちだからこそ、こうした作品を通して「知ろうとする」努力が必要です。
この作品に描かれていることが、歴史の全てではありません。ですが、こうの史代さんという一人の作家の目を通して描かれた「個人の物語」に触れることで、僕たちは「歴史」を「自分ごと」として引き寄せて考える、大切な“きっかけ”をもらうことができます。
これは、ぜひ一度、静かな時間の中でじっくりと読んでほしい一冊です。
あなたに合う勉強になる漫画の探し方
さて、いかがでしたか?
「理科(生物)」「数学(算数)」「社会(歴史)」と、今回は3つのジャンルから、僕が「本当に勉強になる!」と感じた漫画を深掘りしてご紹介しました。
『働く細胞』『和算に恋した少女』『夕凪の街 桜の国』。
どれも、ただ知識を詰め込むんじゃなくて、私たちの「ものの見方」や「考え方」そのものを、豊かに、そして深くしてくれる作品ばかりです。
もちろん、勉強になる漫画は、この他にも山のようにあります。それこそ、がん細胞やインフルエンザ(働く細胞)、算術の歴史(和算)、被爆者への差別(夕凪)のように、私達の身近な出来事や、切っても切れない問題をテーマにした作品が、まだまだたくさん眠っています。
学びの入口は「面白い!」でいい
大事なのは、「勉強しなきゃ」って構えることじゃありません。まずは「あ、この絵、好きかも」「このテーマ、ちょっと気になる」っていう、自分の「面白い!」っていう直感を信じることです。
漫画は、その「知りたい!」っていう好奇心の扉を開けてくれる、最高のツールなんですから。
普段は意識しない体の中の仕組みも、ルールだからと従っていた計算の法則も、遠い昔の出来事だと思っていた戦争も…。一歩踏み込んでみれば、そこには驚くほど深く、面白い世界が広がっています。
ライターの僕も、これからもたくさんの漫画から「学び」を得て、それをあなたの役に立つ情報として発信し続けていこうと思います。
あなたも、この機会に「勉強になる漫画」の世界、是非一度、足を踏み入れてみてはいかがでしょうか?


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